2011年8月26日金曜日

猿田絵夢さんならびにジャックスのこと

僕のまわりには割と創作活動をしている人が多いのだが、友人の猿田絵夢さんは小説を書いている。最新刊はセピア・レミニサンス。絵夢さんは本来恋愛小説が好きなのだが、今回はちょっと純文学っぽい感じに揺らいでいて、その不安定感?が逆に魅力になっている。その揺らいでいる後半の雰囲気はなかなかいい。

で、その前の作品がガラスの部屋。これは僕の好きな学生運動の時代が舞台になっていて、なんとジャックスの「遠い海へ旅に出た私の恋人」の歌詞の一節が引用されているが、タイトルが間違っている(笑)しかも絵夢さんは曲を覚えていただけでジャックスを知らなかった!!それで僕がジャックスのアルバムを聴かせてあげたわけだが・・・この辺の感覚のみで緻密な計算をしないところが絵夢さんのいいところでもある?

ジャックスは僕の結構好きなバンドで、最近のお気に入りは追放の歌。Youtubeで知った曲だが、ライブ音源しかないようだ。

俺の背中にこだまする 人々のあの歌が
喜びの歌じゃない 追放のあの歌
昨日は俺も一緒に歌ってた

最近、こういう曲がなぜか聴きたくなる。

2011年8月6日土曜日

魔の刻の合わせ鏡/風がやまない 林葉直子

今日はひとから聞いた話ではなく、ちょっと自分の思い出話を・・・
20年近く前、作曲活動をしていて、CDを制作したことがある。歌ってくれたのはあの林葉直子さん。

将棋界に少しだけコネがあったので、林葉さんにデモテープを送った。「風がやまない」という曲が一番の自信作だったのだが、万一断られたらいやだったので、念のため全く違うタイプの「魔の刻の合わせ鏡」という謎めいた雰囲気の曲を一緒に入れておいた。ところが世の中何が幸いするかわからないもので、こちらの思惑に反して林葉さんは「魔の刻・・・」のほうを気に入ってくれて、レコーディングにOKを出してくれたのだった。確かに林葉直子のちょっと日本人ばなれした雰囲気にはそちらのほうがあっているということで、「魔の刻・・・」がA面ということになった。

歌ってくれるのが有名人ということで、SONY信濃町スタジオを使わせてもらうというマイナーレーベルとしては破格の扱いになった。

A面は知り合いに頼んでクラシックの演奏家3名が弦楽器で参加。一方B面のほうはやはり知り合いで当時学生だった岩崎英則君がピアノ演奏とアレンジの細かい仕上げをやってくれたのだが、彼は現在スクエア・エニックスでファイナルファンタジーなどの制作者として活躍中の一流ミュージシャンである。当時予感めいたものはあったものの、やはり凄い事だと思う。

担当エンジニアは有名な渡邉茂実さん。レコーディング前に、どんな感じにするか問い合わせがあったので、A面は「異邦人」のように、B面は松田聖子の「一千一秒物語」のようにとお願いした。演奏トラックのレコーディングの日、スタジオに着くとスタッフの人に、
「さっきまで松田聖子がレコーディングしていたんですよ」
と言われた。もう少し早く行けば松田聖子に会えたのに・・・と残念ではあったが、松田聖子と同じスタジオで入れ替わりにレコーディングできたのはいい思い出である。

ところでひとつだけ悔いが残っているのは、当初イチオシだった「風がやまない」がB面としてしか世に出せなかったこと。林葉さんは、
「中山美穂か今井美樹が歌えばヒットする曲だけど、私のイメージじゃない」
というようなことを言っていた。でも今となればこちらのほうが懐かしの林葉直子という感じで価値がありそうな気もする。
「風がやまない」はYOUTUBEにUPしてあるが、聞き所は「さよならが見つかれば」という部分。この部分については阿久津寛の詞も最高のフレーズだと思うが、メロディーもぴったりはまっていると思う。なにより林葉さんのヴォーカルがここだけ(ゴメンナサイ)最高にうまい。ちょっとびっくりするぐらいだ。どうせ素人の歌だと思って聴く人も多いと思うが、この部分はぜひしっかり聴いてほしい。
「魔の刻の合わせ鏡」も出だしだけUPしました。